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中国、「天問2号」打ち上げ–小惑星からのサンプルリターンと彗星探査を狙う
中国は現地時間5月29日、地球近傍小惑星「Kamo’oalewa」(カモオアレワ、「2016 HO3」)から試料(サンプル)を持ち帰る(サンプルリターン)ミッション「天問2号」(Tianwen-2)を打ち上げた。
天問2号は、西昌衛星発射センターから「長征3号B」ロケットで打ち上げられた。探査機には、カメラや分光計、荷電粒子・中性粒子分析器、レーダー、放出物分析機、磁力計などが搭載されている。
同ミッションでは、Kamo’oalewaから2027年に地球にサンプルを持ち帰ることが第1目標。Kamo’oalewaは地球からおよそ1800万〜4600万km離れた、地球に比較的近い小惑星。重力は非常に小さく、直径は30〜100m、太陽系の起源を研究するための「生きた化石」と考えられている。
ミッションでは、表面に着陸してサンプルを採取する実験的な手法も試みられる。サンプルを分析することで小惑星の起源や太陽系の進化過程の理解が深まる可能性がある。
天問2号は、地球帰還時にサンプルをカプセルで投下した後、第2目標として、地球の重力によるスイングバイで2035年頃に彗星「PANSTARRS」(パンスターズ、311P)に向かう。
地球から約1億5000万〜5億km離れているPANSTARRSは火星と木星の間の小惑星帯を公転しており、小惑星と彗星の両方の特徴を持ち、その形成と進化の理由には多くの注目が集まっているという。地球の水の起源に関する手がかりの発見が期待されている。

中国は、2020年に火星周回機と探査車を組み合わせた「天問1号」(Tianwen-1)を打ち上げた。天問2号は2回目の惑星探査ミッションで、2028年後半には火星サンプルリターンミッションの「天問3号」(Tianwen-3)、その後には木星系と天王星を探査する「天問4号」(Tianwen-4)を予定している。
